広告収入の税金は、いくら以上になると発生するのか。YouTubeで報酬を得られるようになったら、そういった税金の知識も必要になってきます。
このページでは、YouTubeの広告収入の税金について、副業の場合、学生の場合、専業の場合の3つのケースで詳しく分かりやすく解説します。
税金のルールを把握したうえで報酬を正しく管理しながら、着実に収入を増やしていきましょう。
広告収入の税金はいくらから発生する?
収入を得ると原則として税金も発生しますが、所得額によっては、税金が免除されることもあります。
広告収入でどれくらいの売上が発生したら税金を納めなければならないのか、副業の場合、学生の場合、専業の場合で、以下一覧にまとめました。
区分 | 確定申告必要 | 確定申告不要 |
---|---|---|
副業 | 副業による所得金額が年20万円超 | 副業による所得金額が年20万円以下 |
学生 | ・広告収入のみで48万円を超えた場合 ・アルバイトの副業として広告収入が20万円を超えた場合 ・アルバイトをかけもちしている場合 ・年末調整前にアルバイトを辞めた場合 | ・広告収入が48万円以内 ・アルバイトの副業として広告収入が20万円以内 |
専業 | 年間の所得金額が48万円超 | ・年間の所得金額が48万円以下 ・所属事務所等で源泉徴収・年末調整をしてもらえる場合 |
ここでいう所得金額とは、1月1日から12月31日までの1年間の期間中に、広告収入として得た収入合計から必要経費を差し引いた金額です。
医療費控除等の所得控除がある場合は、この金額に達していなくても所得金額を記載して確定申告します。
続いて、副業の場合、学生の場合、専業の場合それぞれの税金について、さらに詳しく見ていきましょう。
副業の場合
会社員が副業としてYouTubeで広告収入を得た場合、本業の給与所得以外に得た合計金額が年間20万円を超えると、確定申告をしなければなりません。
会社に副業を知られたくない場合は、確定申告書B(第二表)「住民税に関する事項」欄にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の「自分で納付」に忘れず◯を付けましょう。
「自分で納付」の欄に◯をしないと給料以外に収入があることを会社に知られる可能性がありますが、◯をしておけばその心配も回避できます。
また、2022年8月には「サラリーマンの副業300万円以下は、すべて事業所得ではなく雑所得とする」といった国税庁の通達案に不安を感じた方もいるでしょう。
ですが、この通達は2022年10月に「300万円以下で、かつ、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存があれば事業所得とする」旨の改正が行われました。
→ 国税庁
雑所得でなく事業所得として申告するためには、帳簿書類の準備が必要ということです。
学生の場合
学生YouTuberが広告収入を得た場合、年間の広告収入が48万円を超えた場合に確定申告が必要となります。
48万円というのは、所得金額が2,400万円以下の場合の基礎控除額です。基礎控除は課税対象となる所得金額に応じて以下のとおり決められており、基礎控除を超えると、その超えた分が所得税の課税対象となります。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
出典:国税庁「基礎控除」
アルバイトでの収益が所得のメインとなっている場合は、YouTubeの広告収入が年間20万円を超えると確定申告が必要です。
アルバイトの場合は、確定申告すると多く払いすぎている税金の還付(払い戻し)が受けられるケースもあるので、面倒がらずに計算してみることをおすすめします。
所得税の算出についての詳細は、以下の国税庁のページを参照ください。
専業の場合
1つのYouTuber事務所に所属していて、その事務所で源泉徴収と年末調整に対応してくれる場合は、確定申告の必要はありません。
ですが、フリーで活動する専業YouTuberが広告収入を得ている場合、所得金額が基礎控除額を超えると確定申告が必要となります。
基礎控除は、年間の所得金額が2,400万円以下の場合で48万円ですから、年間48万円を超える所得があれば、その超えた部分が所得税の課税対象となり、納税義務が発生するわけです。
個人事業主として税務署に開業届けを提出し、青色申告承認申請書を提出すれば、それ以降、毎年継続して青色申告特別控除で最大65万円の控除が受けられます。青色申告特別控除は、白色申告では受けられません。
個人事業主開業届けは、A4用紙1枚提出するだけ。
ただし、青色申告は複式簿記での帳簿作成が必須で、「弥生会計」や「freee会計」などの会計ソフトが必要となります。
複式簿記というと手間に感じる方もいると思いますが、青色申告の申請をすると特別控除が受けられるほか、事業が赤字になった場合、翌年以降3年間その損失を繰り越して節税できるなど、複数のメリットがあります。
事業が赤字になった場合でも、青色申告で損失繰越控除の手続きをしていなければ、過去の損失を翌年以降の所得から差し引きすることはできません。
専業としてYouTubeに取り組む際は、早めに開業届けを提出して青色申告のメリットを最大限活用するのがおすすめです。
青色申告するためには青色申告承認申請書の提出が必要で、期限もあります。詳しくは国税庁のページを参照ください。
広告収入の経費とは?
YouTubeの広告収入から差し引きできる経費とは、動画撮影に関係する費用のことで、例えば以下のようなものが挙げられます。
経費項目 | 内容例 |
---|---|
通信費 | インターネット回線料 携帯電話料等 |
消耗品 | 事務用品や機材等 |
広告宣伝費 | 有料広告の利用料金等 |
外注工賃 | 動画編集作業等の外注費 |
旅費交通費 | 動画撮影に必要な旅費等 |
新聞図書費 | 動画撮影に必要な参考書籍等 |
広告収入で得た金額から経費を差し引いた額が一定の金額を超えると、翌年3月15日までに確定申告をして必要な税金を納めなければなりません。
所得税をいくら払うかは所得と税率によって異なり、所得税の税率は課税される所得金額に応じて以下のとおり決められています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁「所得税の税率」
課税される所得金額が1,949,000円までであれば、税率は5%で計算するわけです。
広告収入の税金は払わないとバレる?
国民には納税の義務があり、広告収入による所得についても、税金を払わなければ脱税になります。
所得の申告をしなかったり、税金を少なく申告したりした場合は、正しい税額に過少申告加算税や、重加算税、延滞税等が上乗せされ、より多くのお金を負担することとなります。
脱税は犯罪として罰金刑や刑罰の対象にもなる行為で、10年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方を科せられることがある、リスクしかない行為です。
収入を得ているということは、支払った事業者もいるということで、双方の情報にズレがあれば、あるべき申告がなされていないと税務署側でも簡単に把握できます。インターネット上のやりとりであっても同じです。
YouTubeであればGoogleから広告料が支払われていると税務署でも把握していますので、申告漏れのないように注意しましょう。
利益が少ないから、個人だからといった理由で、税務調査の対象から除外されることはありません。
YouTubeやアフィリエイトで広告収入を得るつもりであれば、確定申告対策として、日頃から経費の領収書やレシートを保管、記帳しておくなど準備を整えておきましょう。
広告収入で住民税の申告が必要なケース
確定申告する場合は住民税の申告の必要はありませんが、所得が少なく確定申告が不要な場合には、住民税の申告が必要となる場合があります。
市区町村によって、住民税の届け出をしなくてはいけない条件が決められていますので、お住まいの自治体のホームページで確認しておきましょう。